iris

ショートショート

女性差別

難しい時代になったものだ。深呼吸をしてから、電車に乗る。「おはよう。ちょっと顔色が悪いようだけど、大丈夫かい?」「女性に外見の指摘をするなんて失礼な。差別ですよ」「…あぁ、失礼」「台車運ぶの、手伝うよ」「それって、女性の私の方が非力だってい...
ショートショート

雀の涙

知り合いに、困っている人がいた。私はその分野に明るかったから、彼のサポートをし、何とか窮地を切り抜けた。「お礼をさせてください」という彼に、「好きでやったんですからお構いなく」と返答したが、彼は「そんなこと言わないで受け取ってください。あな...
ショートショート

コナン

未来辞典より引用「コナン」:死神。出現地点の周囲に殺人事件が起きるという特異な現象。(類似語)金田一。(出現条件)旅行・同窓会・孤島。
ショートショート

失礼ですよ

私は、今日からファミレスで働き始めた。接遇マナーも覚えたし、さあ、頑張ろう。「お客様、おひとり様でよろしかったでしょうか?」「どうせ私に連れ合いなんていないと思ったんでしょう?失礼ですよ」「ライスは無料で大盛に出来ますがいかがですか?」「私...
ショートショート

猿も木から落ちる

私は、朝からずっと動物園の猿山を観察していた。「猿も木から落ちる」かどうかを確認するためだ。結果は、落ちるというより、後ろから押されたり、威嚇されたり、普通に落ちていた。ただ、落ちても皆、痛みを引きずる様子はなく、すぐにまた木に登っていた。...
ショートショート

七五三

2080年。日本は少子高齢化問題に直面していた。若者が圧倒的に足りなく、二十歳以降の成人が社会を支える構造が崩壊寸前だった。そこで、七五三の七歳を迎える年に成人とみなす式典を行い、七歳から働き手として社会に羽ばたくことになったのだ。子どもで...
ショートショート

魔女の言い分(ヘンゼルとグレーテル)

私はパティシエだった。魔女なんかではない。顔が鷲鼻で、ちょっと人相が悪かっただけだ。職人の世界では、強面の人は珍しくない。ある日、お菓子の家を作ってほしいという注文が入った。家サイズのお菓子なんて、前代未聞の無茶な注文である。でも私は、腕の...
ショートショート

明日

私は、未来から来た科学者だ。タイムマシンを使って、人類滅亡の日の前日にやってきた。私はその日、たまたまタイムトラベル中だったので、偶然生き残ることができた。明日起きる事は隕石の衝突なので、滅亡を止めることは出来ない。私に出来ることは、一人で...
ショートショート

日本語講座上級者コース

丁寧語、尊敬語、謙譲語をマスターした上級者にだけ受講できる講座があった。1日目は、「省略語」。「あーっす。これは何と言っているでしょう?」「明日?」「違います。ありがとうございます、です」生徒はどよめく。「っす。これは?」「?」「おはようご...
ショートショート

理想の彼女

彼女は、僕の理想にぴったりだ。当然のことだ。私が自分の理想に合わせて作り上げた、AI人間だからだ。顔は本当にかわいいから、ずっと見惚れていた。でも、美人は三日で飽きるとは本当で、数日見ているうちに美しさには興味がなくなった。それでも、性格も...