今、俺たちは新婚旅行中だ。
観光地で妻と写真を撮ったが、どの写真でも妻は白いものに包まれている。
「なんか、体だるかったりしない?」
「最近、知り合いに不幸あった?」
と、さりげなく心当たりを聞いたが、彼女はキョトンとしている。
(まぁ、いいか)
今回の旅行の目的にはそんなことは関係ない。
今日は新婚旅行の最終日。夕日の沈む景色を小高い崖にいた。
ロマンティックな演出を込めた、今回の新婚旅行のクライマックスであった。
彼女に惹かれた理由は、実家の財力のみであった。
愛情なんてない。
結婚して、多額の保険金をかけて、後はお払い箱だ。
その後は、別の女性とほとぼりの醒めた頃に再婚する。
自然に事故死を装える場所を、いろいろ調べてこの新婚旅行先を決めた。
夕刻、誰もいない時間にこの時間に妻とここに立つ。
計画通りだ。
「ちょっと、あれ見て」
そう妻に声をかけ、振り向いた妻の背中を強く押した――はずだった。
しかし、背中の感触はなく、ぐにゃっと手が得体のしれないものにめりこむ感覚があった。
その膜は、彼女の体から離れ、俺を持ち上げ、崖下へと突き落とした。
落ちていく俺が見上げた時に捉えた妻の姿は、白いものに包まれていた。

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