明日

ショートショート

私は、未来から来た科学者だ。
タイムマシンを使って、人類滅亡の日の前日にやってきた。
私はその日、たまたまタイムトラベル中だったので、偶然生き残ることができた。
明日起きる事は隕石の衝突なので、滅亡を止めることは出来ない。
私に出来ることは、一人でも多くの人にこのことを伝えて、最期の日を有意義に使ってもらうことだ。

「明日、地球が滅亡しますよ」
「今日を大切に生きてください」
私が道行く人に声をかけても、皆一瞥して通り過ぎていくだけだった。

その中で、公園でのんびり過ごしていた一人の老人だけが、私の話をじっくり聞いてくれた。
「あぁ、そうなんですね」
納得してくれた老人の表情に混乱の色は見られず、逆に安堵の色が見られた。

「もう、生きるのが辛かったんです。それでも人生ってそんなに簡単に終わらない。
明日、やっと解放されるんですね」

「今日は安心して眠れそうだ」

そう言い残し、公園の隅の段ボールの住まいに戻っていった。

明日には、全てが終わる

私の
「悔いのない最期の一日を」
というメッセージは、誰にも届かなかった。

静かに隕石は、地球に迫っていた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました