はじめに
私は、子どもの頃は犬と暮らしており、犬がくれる愛情の深さにとても救われ、兄弟のような、親友のような大切な存在でした。
大人になり母を看取り、「1人暮らしで働きながらまた動物と暮らしたい」と思った時、子供時代のように、たくさんの家族がいて、皆で愛情をかけて散歩に連れていけていた頃とは状況も変わってしまい、私のお迎えの環境では、犬にはストレスであろうと感じ、譲渡会巡りをして、2匹の姉妹の子猫をお迎えすることになりました。
保護猫を迎えてから、SNSやYouTubeなどを通して、保護団体の現状や、絶え間なく保護され続ける猫が日本全国にいる事に、目が行くようになりました。
まずは「知る」こと。
1人でも興味を持つことが、常にレスキューされ続ける保護活動の前進につながると感じています。
この記事では、保護猫の現状をお話しします。
犬より猫が圧倒的に多い事情
「保護犬」「保護猫」で検索して出てくる全国規模の保護団体も、地元の市町村の保健所、地元の保護団体で募集している犬と猫も、9.5対0.5くらいの印象で、圧倒的に猫が多いです。
それは、犬は飼育歩茎や飼い主が高齢者で施設に入所や亡くなったりして引き取られるという事情がほとんどな事に対して、猫は、同じ事情に加えて、ペットとしてではなく、野良猫、地域猫として生きる子がたくさん存在し、その環境下で、年に2~3回の出産、その一度の出産で、3~5匹ほど出産します。
猫は、繁殖能力は高いですが、仔猫時代はカラスなどに捕食されたり、栄養不足で育つことが出来なかったり、生き延びて成猫に育っても、生きていくための食べ物を確保する事も難しく、現代の異常な暑さの夏や、冬になると生きものや植物をエサとしてとれなくなったりと、人の手が入らない環境で生き延びることは、想像以上に過酷です。

昔はそのような猫に、近所の人が「飼う」ことはしないけど軒先を貸したり、エサをあげたりして野良猫と人間の共存もありましたが、目の前の一匹にエサをあげることで、背後に繁殖し続ける猫の連鎖は防げない、という理解が一般的になり、「猫を餌付けしない」「野良猫を見つけたら保護する」「保護して人の飼育下に置くことが最善と判断されない成猫は、避妊手術、去勢手術のみ行い、野良猫として見守る」という時代へと変容していきました。
見つけた猫を「保護する」
それをしているだけで、常に野良猫がどこかで発見され、1回の保護で6匹同時にレスキュー、のような状況が起こっています。
譲渡がレスキュー数に追いつかない
残酷な話ではありましたが、昔は保護された犬や猫は、新たな飼い主が見つからない時には数週間で殺処分が行われていました。
今は時代が変わり、多くの自治体や都道府県の保健所が「殺処分ゼロ」を掲げています。
一見、保護犬や保護猫の命の尊厳が守られる、良い変化のように感じますが、現実は保護される犬や猫皆に新たな飼い主が見つかるわけでもなく、本来の保護団体の収容キャパ以上の猫が保護されています。
外見がかわいい子猫には譲渡先が見つかりやすいですが、仔猫でも猫エイズ、猫白血病など持病のある猫は譲渡に敬遠されやすく、成猫や、その中でも疾患があったり、過酷なサバイバルをして生きてきて人慣れ出来ない猫は、何度の譲渡会を経ても、譲渡に繋がらないことが多く、その結果、生涯を保護団体のもとで過ごす子も少なくありません。

保護犬、保護猫の譲渡条件の厳しさ
この記事を読まれている方の中には、「自分も以前、保護団体から保護猫を迎えようとしたが条件が厳しすぎて断念した」という方もいるかも知れません。
私自身、今の姉妹猫を迎える前に、「保護猫」という検索をして、条件の厳しさに心が折れました。
全国規模で募集をしている保護猫のホームページでは、これが特に顕著です。
「65歳以上不可」
「単身者不可」
「55歳以下は応募可だが、後見人を立てられない人不可」
「同棲カップル不可」
「これから子供が生まれたり、家族の形が変わる人不可」
これらの条件に加え、
「トライアル中にも毎週写真を送ること」
「トライアル中に、飼い主として不適切と判断した際は、連れて帰ります」
という記載がある保護主さんもいました。
私は、地方密着型の保護団体から迎えましたが、
「65歳以下の後見人必須」
のみが、譲渡条件でした。私は後見人はは80歳を越える父のみだったので該当しなかったのですが、面と向かって信頼できる人と判断したら1匹でも多く譲渡したいという団体だったので、保護主さんが後見人欄に名前を書いてくれることで、特例で譲渡され、お迎え出来ました。
「不幸な猫を減らしたい」
「保護猫を迎える、という選択肢も入れたい」
と考える人の中で、気持ちはあっても諦めてしまう人が少なくないという現実は、確かにあると感じています。

譲渡条件の厳しさの背景
この上記の厳しい条件は、決して保護猫の譲渡を妨げようとして設定されたものではありません。
譲渡された先で、不適切な飼育をされ、不幸になった猫を知っているから。
簡単に手に入れられる小さな命を、よからぬ衝動に利用しようとする存在がいるのを知っているから、出来てしまった、「最悪」な状況を回避するための「防御壁」でもあるのです。
猫の飼育環境に、保護団体が懸念を抱く第一の不安は、軽い気持ちで迎えた子たちが、どんどん繁殖を繰り返してしまい、数十頭に、増えてしまい「多頭飼育崩壊」という状況を起こしてしまう、という状況があります。
猫は、親子でも、兄妹でも時期が来れば繁殖行動をとります。2匹なら経済的に飼える、といって男女の二匹の猫を迎え、去勢手術、避妊手術をしないまま迎えると、その2匹が子を生み、その増えた子猫にも去勢、避妊手術をする経済的余裕がないままどんどん数が増え続ける
「多頭飼育崩壊」
という状況が生まれます。
この環境を招いてしまった飼い主は、猫に愛情があり、虐待をしている自覚はありません。
しかし、猫にとっては、過密・不衛生・医療にかかれない状況は、明確な「ネグレクト」という虐待環境に当たります。
このような環境からのレスキューの経験があったり、そこで暮らしてきた猫を、譲渡先でまた傷つく環境に置きたくない、という強い想いから、譲渡の条件が厳しくなっている背景があります。

また、大多数の人は、仔猫や成猫を見て「かわいい」「癒される」「迎えて大切に育てたい」と考えますが、ごく少数、その儚い命の存在を見て「破壊衝動」「虐待欲求」を湧き上がらせる人が存在します。
そういう人の「嗜虐性」を満たすターゲットになりがちなのが、地域に住む野良猫や、保護団体で家族を探している保護猫です。
他にも、何らかの事情で、1度飼い主との別れがあったり、辛い体験をしてから保護された猫が多いため、再度、飼育を放棄されたり、高齢などの事情で死別やそれに伴って飼い主に巻き込まれて最悪な結果を迎えさせたくない。
地域の保護団体は、対面での譲渡希望者とのやりとりの場面がありますが、全国規模で、書面だけでの譲渡となると、安心できる「信頼の譲渡先のフレーム」を作りたいという心情から、このような「譲渡希望者も多くが弾かれる高い譲渡条件」が設定されています。
保護団体と譲渡希望者のジレンマ
保護団体は、レスキューされる保護猫の多さ、善意や寄付頼みでの運営。それでも保護猫の餌代でいっぱいいっぱい。
本当は譲渡をどんどん繋げて、抱える保護猫の頭数を軽くしたい。
でも、譲渡した後に、猫にとって幸せになれる環境ではないと判断し、連れ戻した経験を数多くしている。
以前の失敗が、譲渡条件にどんどん追加されて行って、結局「誰が迎えられるの?」と思うほどの高い壁になっており、トライアル中も「信頼」より「監視」や「審査中」のような、最悪の事態を想定せざるを得ない関係性になってしまう。

譲渡希望者も、保護猫の現状や、募集の写真に一目ぼれして、「保護猫を迎えたい」と検討しても、調べるほどに「自分は該当しない」と弾かれ、譲渡条件をクリアしても「写真を送って」「抜き打ち訪問します。トライアル中に不適切と判断したら、譲渡はなかったこととします」との文言もあったりと、「善意」からくる行動を「疑念」で監視されることに心が折れ、保護猫を迎えることを断念する人も多くいるようです。
この「愛情」と「情熱」からくる壁が低くなれば、迎えられ、家庭で幸せに暮らせる猫は増えるのに…。
もどかしいジレンマです。
まとめ
保護猫の現状、そして迎えられる難易度の高さは反比例しており、いまだ、保護団体で新しい飼い主を待っている猫がたくさんいます。
ただ、私のように
「直談判する」
「大きなプラットフォームではなく、地域密着型の保護団体を選ぶ」
などで、保護猫を迎えられることもあります。
この記事で「知り」、興味を持ったら、あなたが出来る限りの「行動」をすることで、私が「特例」で保護猫を迎えられたように、誰かの心を動かし、あなたに会うために待っていた猫を、お迎えすることが出来るかも知れません。
保護団体の人の心を動かすのは、現実を知っていて、経済的にも自分の人生を賭けて猫を迎える覚悟があるかどうか、
です。
この記事が、あなたと、どこかで出会いを待っている猫の幸せにつながったら嬉しいです。
次の記事では、私が迎えた2匹の姉妹猫の背景をお話しします。

コメント