「水」を描いたピアノ曲3選

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はじめに

「水」とは無色透明でありながら、様々な彩りが映し出し、音楽のインスピレーションをかき立てる題材です。

きらめき、揺らぎ、反射、流れ…

この記事では、この「水」を「音」で描き出した、クラシックのピアノ曲を3曲ご紹介します。

リスト:「エステ荘の噴水」(巡礼の年 第3年より)

リストは、「超絶技巧練習集」「パガニーニ練習曲」などの超絶技巧に特化した曲を多く作曲し、そして自分自身でピアニストとしてその曲を演奏し、失神者が出るほどに聴衆を熱狂させました。
しかしその方向性は晩年に向かい、自身の子供の度重なる死などの喪失体験を経て、「巡礼の旅」を始め内省と精神性の高い曲作りへと変化していきます。

その「巡礼の年」の中でも傑作と言われているのが、噴水の水を躍動感を持って描いた「エステ荘の噴水」です。
今までの「喜び」や「悲しみ」を音楽で表現していたとは異なり、水の移ろい、光のきらめきが目に浮かぶような「視覚的」音楽表現は珍しく、後年に続くドビュッシーやラヴェルの水の表現にも影響を与えました

それまでのテクニックを誇示するような曲調より、曲の繊細さ、美しさがまず飛び込んでくる、清らかで柔らかな印象の曲です。

異国の地の噴水の、日に反射して輝く光景が目に浮かんでくる曲です。

ドビュッシー:「水の反映」(ベルガマスク組曲より)

ドビュッシーは、「モネ」のような印象派の絵画の世界を音楽に持ち込んだ、音楽史において「印象派」と呼ばれる作曲家です。
彼の描く音楽は、「月の光」「グラナダの夕べ」「雨の庭」のような、刻々と変化していく、移ろいゆく光景を音にして描き上げた作品がたくさんあります。

「音に色を感じる」――そのような感覚を「共感覚」と呼び、非常に珍しい特性と言われていますが、ドビュッシーの音楽を聴くと、この和音、この旋律は視界で感じるこの光景を描いているんだろうな、と感じる部分が多く見受けられ、「共感覚」に近いような感覚を得ることが出来ます

ドビュッシーの作り出す音には、「音の雲」のような独特の響きがあり、音に耳を澄ますと、水滴が落ちて波紋が広がっている映像が、音だけで目に浮かんできます。

ラヴェル:「水の戯れ」

ラヴェルは、色彩豊かなピアノ曲を書くことに長けていて、ドビュッシーのような「柔らかな印象」で水を表現するのとは異なり、超絶技巧と言えるほど音を精密に描きこむことで水の躍動感を立体的に描き上げました

私自身、この曲を演奏した時には、他の作曲家とは違う曲へのアプローチに驚きました。
少しずつ盛り上がってくると、本来はそこから主題が現れたりフォルテッシモでクライマックスとなるのですが、ラヴェルの曲は、盛り上がってきたなと思うと急にスンッと曲が途切れて違う旋律が始まったり、急に消える、急に色彩が変わるの連続で、その不規則性こそが水の多彩な表情に繋がっていると感じました。

「水の戯れ」の名のごとく、水が自由自在に動き回るような、水を眺める観察者の視点というより、水そのものが音を発しているような印象の受ける曲です。

まとめ

3人の作曲家のそれぞれの水の表現は、ピアノの世界にとっても大切な「金字塔」を遺しました。

これらの曲に耳を傾ける時、あなたの中にもそれぞれの「水の世界」が広がることでしょう。

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