はじめに
あなたは犬派ですか?猫派ですか?
どちらも、私たちの生活に彩りと温もりを与えてくれる大切なパートナーです。
しかしこの二つの動物は、人間に向ける愛情の種類も、人間から与えられて安心する環境も、実は大きく異なります。
それぞれの特性や人との適切な関わりを理解しないで迎えると、想定した成長ではなかった、飼い主が制御できないほど狂暴になってしまった、などの理由からやむなく手放すことになる、という結末を迎えてしまう事があります。
この記事では、まずは犬のお話から。
犬と人がお互いが幸せくらすために、まずは、悲しい事ですが、犬を手放す理由によくある事案をお話しします。
犬の魅力
犬派の人から言わせると、犬の最大のかわいさは、全身で愛情を伝えてくれること。
出かける時は、この世の終わりのような悲しみ方をし、夜に帰宅をすると、何年も離れていた最愛の人にやっと会えたような、全身全霊を込めた喜びを伝えてくれます。

また、犬は人の心の動きにとても敏感で、叱られている家族は守ろうとし、泣いて、悲しんでいる家族には、何時間でもそばにいて慰めてくれます。とても愛情深い動物です。
しつけも出来、命令に嫌々従うのではなく、これをすれば飼い主が喜んでくれる、と自分の喜びとして様々なしつけを学習していきます。
このような魅力に惹かれ、犬を迎えようと思う人が多いようです。
でも、保護センターには、途中で飼育放棄をされた犬がいるのも事実です。
手放される理由にあること
この章では、犬を手放す時に起こりうる原因、マイナス面をお話しします。
見た目に愛着が持てなくなった
「かわいい」という外見で迎え、成犬になってもぬいぐるみのようなんんだろうな、と愛玩犬として迎えた場合、ペットショップの申告より大きく育つことがあります。
例えば、「ティーカッププードル」「ティーカップチワワ」「豆柴」など。
小さく生まれるように交配されていますが、個体の差、飼育時のエサの量で、普通のプードル、チワワ、柴犬なのでは?と思うサイズに成長する事があります。

「小さいから」
「可愛いから」
外見重視。命を迎える覚悟がなく迎えられる文化が、悲しい現実につながっています。
散歩が負担
小型犬で寒がりだったり外の世界を怖がって、散歩を拒む犬も中にはいますが、犬を飼うことは、一緒に生活するだけではなく、自分の時間を犬のために確保できるか、確認する事が大切です。
猫は1日14時間くらい寝ていて、安全な家の中を好みます。しかし狩りの本能だけは室内で穏やかに暮らしていても抜けず、動くものは全力で追いかけます。
犬の本能は、外で走り回ることが大好きです。
特に、猟犬や大型犬は走ることに特化しており、本当に疲れ知らずです。

室内で飼うことが必須となった現代、愛情はかけていても、散歩の時間を確保しないのは、犬の特性を考えると一つのネグレクト行為に当たるとも言われています。
小型~中型犬は、犬の体力に合わせながらも朝夕の2回。大型犬は、本来の必要な運動量が、小型~中型犬とは異なるので、朝夕に、最低1時間程度の散歩が必要と言われています。
また、大型犬は体力も桁違いです、何かに興味を示し、急に飛びかかろうとしても、飼い主がリードを持っていかれないように、飼い主の制止に従う、最低限のしつけは必須です。
家に中を荒らしてしまう
問題行動が多い
等、どうしてだろうと原因が思いつかない時――実は、散歩時間がその犬種に合っておらず、ストレスが解消できていない時があります。
自分に懐かない
犬は、人をよく見ています。
常に自分の存在を気にかけ、身の回りの世話、散歩、声掛けする人を自分の主人と認識し、時々、気まぐれに構う程度の関わり方をしている人とは、明らかに態度を変える事があります。
一家の中で、お母さんはその犬を溺愛し、相思相愛なのに、お父さんには、無視したり虐めている訳でもないのに、尻尾も振らずに無反応。
お父さんはその事で更に犬に愛着が持てなくなる。
実はこれも、よくある話なのです。

犬は人の表情をよく見ています。家族といる時、自分からはずっと家族を見つめています、その目線にいつも笑顔で返してくれ、安定した愛情をかけてくれる存在が、家族の中で一人だけだったら、犬は本来の全身全霊で愛を注ぐ相手をその人だけに注力します。
その態度の差を明らかに見せつけられると、飼い主としても愛着が持ちにくくなることもあります。
お母さんが何かあった時、そのまま家庭の誰にも心を閉ざしたまま飼育され続けることもあります。「なつかない子を育てる喜びが無い」と、手放される場面も存在します。
家庭という空間に、自分を愛している人と、疎ましく感じている人、両方が存在する――これは人の感情の機微を読み取ってしまう犬にとってはとてもストレスの強い環境です。
しつけができない、攻撃性が強い
家族にも常に牙をむいて威嚇する
飼い主をなめてしまっていう事を聞かない
これは、その犬を継続して飼い続けるのが難しくなる、大きな問題です。
これは、2つのパターンがあります。
一つはしつけや日頃の接し方に、飼い主側に威嚇の色合いや手をあげるしつけ方法があり、恐怖で瞬発的に身をまもるために嚙みついてしまう。
もう一つは、子犬段階で、問題行動を更に助長する反応をしてしまい、犬が混乱したり。飼い主のいう事は聞かなくていいいと序列を決めてしまい、信頼関係の築かれていない状態で、その犬の散歩をしたり、犬のエサの皿に触ることで威嚇される、というのがあります。

無駄吠え、来客者に威嚇する
これは、家庭内で大切に育てられた小型犬によく見られます。
室内が一番安全で、飼い主も自分に甘く、家での自分が「序列が上」だと判断している。
家全体を、自分が守るべきテリトリーと認識している状態です。
小型犬は臆病で音に敏感なところがあり、外を走るバイク、郵便屋さんがポストに来る気配――
これらを全て威嚇で排除しようと、金切り声で吠え続けます。
犬の習性で、消防車のサイレンで近所の犬が一斉に遠吠えすることがありますが、それとは明らかに違う、しつけが必要なレベルの無駄吠えです。
また、来客があると「自分のテリトリーに入ってくるな」と吠えて牙を剝きながら威嚇します。最悪、噛みついてしまう事も。

これも、この習性が犬に定着してしまうと、行動を強制するのは困難です。
まとめ
犬は優しく、そして非常に賢い生き物です。
大体は、迎える初期段階の関係性の構築が、後々に大きく影響することになります。
迎える時は、
・可愛いからと衝動的にお迎えせずに、自分はこの犬種を迎えられる時間、体力があるか熟慮してから行動に移すこと
・迎えたら終生添い遂げる覚悟と経済力を持つこと
・初期の関係性の構築が大事なので、迎える前に犬への理解を深めておくこと
これが不幸な犬を生まない世の中にするための、最善の道なのではないかと感じています。
次の記事では、今回の行動がすでに出てしまっても、関係を再構築する方法をご紹介します。

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