「言葉」の重さ【伝える言葉を選ぶ】

思考、メンタルヘルス、生き方

はじめに

最近、耳にしてとても心に刻まれた言葉があります。

何を話すかが知性
何を言わないかが品性

人は、話下手な事にコンプレックスを感じ、どう話そう、どう会話をつなごうと気持ちが行きがちですが、何を黙そう、触れずにおこう、こちらの方が本来は大事なのかもしれません。

言葉は時に救いの光となり、時に胸を抉るナイフとなります

あなたの発する言葉には、知性、品性はありますか?

言うべきでないもの

私たちが無意識に使っている言葉で、実は相手にはナイフのように刺さっている言葉があります。
視点が違わないと気付けない景色があります。

言わない「品性」には想像力が求められます。

誰かを下げるような嘲り

目の前の話し相手が、該当者でないからといって、差別的な笑い、特定のものに嫌悪感を込めた笑い話をする人がいます。

「あなたには言っていないからね。あそこの人変だよね、気持ち悪い」
など。

相手は、あなたも「こっち側」の人間だと思って話しているのだと思います。

しかし、人は皆、周りの人には話していない背景を色々と抱えているものです。

家族に障害を持つ人がいる
塚しい人を、自死や事故で亡くしている
子供を流産した経験がある
家族に新興宗教信仰者がいる
精神疾患を持ちながら公表しないで働いている

など。

軽く、何かを馬鹿にして笑いながら世間話をしている時、隣に、そのコミュニティーに「あちら側」、つまり当事者がいる事が本当によくあるのです。

私自身、「あー、私忘れっぽくて駄目だなぁ。こんなんじゃ○○病院(精神科)に行かなきゃ」と繰り返し話題にされ、「私、そこに通院しながら頑張って生きてるんだけどな」と笑顔で答えながらも、言葉が心に突き刺さった経験があります。

自分が笑いながら何気ない雑談をしている時、「誰かを侮蔑して笑いを取っていないか?」と自分の中で一呼吸を置いて、確認してから話すことが大切です。

デリケートな話題

話題にしない方が良いという場面でよく言われるのは「政治」「宗教」「お金」とよく言われます。

私からすると、「一概にそうとは言えないのでは?」と感じます。

前章で取り上げたように、そこに馬鹿にした笑いが含まれているならいけませんが、
政治は、
今、日本初の女性総理大臣が誕生し、停滞、諦めムードのあった政治が大きく動き始めているのを感じます。政治批判で熱くなるのは品が無いかもしれませんが、このムーブメントの流れを話題にすることは、品性にかける行為であるとは思いません。
宗教は
興味本位で聞くのではなく、他社への配慮のためであったなら、戒律を守るために食生活や場所に無理に誘わない、相手への理解につながります。
お金は
「いくら貯金持ってる?」「収入は?」は品がありませんが、投資やふるさと納税など、独学だけで学んでいくには難しい制度もあります。
こういうお金の話は、人と共有して学んでいくのが一番。
情報が少なすぎると、情報商材を扱っている人や、かなり無謀な投資話に乗ってしまう危険があります。
これは品のない話ではなく、お金に真剣に向き合う、品性のある話題であると私は感じます。

時代は変わっても、避けた方が良いデリケートな話題は

「学歴」
「人種、出自」
「家族などプライベートは本人が話したことだけ話題にする」
「外見」「クセ」

など。

他に、相手を不快にさせないために

「自分の自慢」
「悪口」
「下品な話題」

などは、話さないように意識すると良いと思います。

相手が「この人は、そこに触れないんだな」と気づく時、言わない事の品性が相手にも届き、信頼という形で帰ってくるでしょう。

かわいそう

「かわいそう」という言葉
一見、他人の心を推し量れて優しい言葉のように聞こえますが、言われる側にとっては「憐れまないでほしい」と自尊心が傷つく言葉です。

私は、障害者もいる介護の現場で働いていますが、目に見えてわかる障害を抱えている人を見て「生まれつきああなのかな、かわいそうだね」と話してくる人がいます。

そんな時、私は答えます。
「途中から失ったのなら悲しいかも知れないけど、生まれた時からなら、本人にとってはそれが普通なんだし、かわいそうって思わなくていいんだよ」
と。

例えば、
生まれつき目が見えなくても、他の五感が感覚を補完して、目で見る色彩以上の彩りを、空気や風で感じているかもしれない。
生まれつき耳が聴こえなくても、私たちの表情やジェスチャーで、音楽や音を越えるメッセージを受け取っているかもしれない。
欠けているものがあっても、周りが思うほど不幸ではないと、私は思うのです。

「かわいそう」という言葉は、無意識に「私はああでなくてよかった」という深層心理が映し出されます
その言葉は、相手の自尊心を抉ります。軽い気持ちで発しないように気をつけたいものです。

言うべき言葉

はじめに、「何を言うかは知性」とお話ししました。
自分の知らない分野や、見識の深い人の話は面白く、そういう人の話を聞くことで自分の視野や世界が広がったこともあります。
しかし、ここでは知的な話題ではなく、「愛情」を背景にした「言うべき言葉」をご紹介します。

愛してるよ、大好きだよ、あなたが大切

言葉が栄養だとして、この言葉を毎日かけ続けても、栄養過多で根腐れする事はありません。
むしろ、あいさつのように「わかってるよ、うるさいな」と思う位に与え続けていい言葉です。

昭和時代の親は、愛情はあってもあえて言葉にはせずに厳しく接し、亡くなる前にようやく親の本心、実は愛情をかけてくれたと気付く、ということも多くありました。人は言葉にされないと、心の中の想いは見えない事も多いです。

人は、深く愛された体験から、自己肯定感が高まり、自己肯定感が高いと色んなことに臆せず挑戦できるようになり、例え失敗したとしても、「あなたなら挽回できる、失敗は成功の基だからね」と大らかに肯定してくれる存在があると、一回の失敗で心が折れないような、バネのある心に育ちます

明石家さんまさんの娘さんの名前は「いまる」さん。
はじめ、変わった名前だな、と思いましたが、名前の意味を聞いたとき「これは深い名前だな」と感じました。

「生きてるだけでまるもうけ」

命の全肯定です。親から娘へのメッセージでもあり、生きていくうえで、つまずいたときのお守りになりそうな言葉。
実際に彼女は、思春期は(喋りすぎる人なので)「うるさいなぁと思った」と言いますが、今も両親との関係は円満で、芸能界にいながらも島に移住してのんびり暮らすという、自分らしい幸せの形を自分で選び、とても良い顔をしています。

子供の事を愛し、肯定する事と「この子は良い子のはず、そんな子じゃない」と問題行動から目を逸らすことは違います。肯定とは、道を反れた時もきちんと目を逸らさずに伴走するということ

目をかけ、声をかけ続ける事が、本来のその子の光を最大限に外に表せる助けになります。

そばにいるよ、見ているからね

あなたの周りに、おどけてムードメーカーなんだけど、いじられ方が強すぎると感じる人はいませんか?
また、上司から毎日強い叱責を受けて、委縮してしまっている人はいませんか?

はっきりとした「いじめ」なら、それはおかしいと抗議できますが、友人関係のようにも見えたり、指導の範疇にも見えたり‥、
こういう場合は、周りの介入が難しい時があります。

でも、小さな問題として傍観していると、ある日学校に来なくなったり、職場から本人に連絡がつかなくなったり、最悪の場合は自死を選んでしまうことも。

ダイレクトに「大丈夫?辛くない?」と聞くのもありかもしれませんが、「友達だから」「自分のミスが多いから」と受け取る側が遮断すると、それ以上の介入は難しいです。

そういう時は、避難場所としてのあなたの存在を伝えておくこと。

「そばにいるよ」「見ているからね」

これは言葉にしなくても構いません。そのメッセージが相手に届けば十分です。
コンビニスイーツやテレビの話など、毎日たわいもない話をする距離感を保つことで、最悪の選択をする前に「いざとなったらあの人に頼ろう」という心理的セーフティーネットになるのです。

気にかける、目をかける、言葉をかける

同じ現場にいても、大抵は傍観者で、その役割をしようとする人はあまりいません。

もしあなたの周りにこういう人がいた時は、ぜひこのメッセージを伝えてもらえたら、と思います。

ありがとう

日本語は、「ありがとう」と同じ意味合いで「すみません」があります。

何かをしてもらった時、道を開けてもらった時、助けてもらった時‥‥。

この場面で、無意識に「すみません」が出てくる人も多いと思います。

でも、受ける側からの印象は全く違います。
「ありがとう」からは「感謝」の気持ちがはじめに伝わり、
「すみません」からは「謝罪」の気持ちがはじめに伝わります。

「すみません」と言われると「助けたことで、逆に気を遣わせてしまったかな?」という感情になり、「ありがとう」と言われると「感謝してもらえた、やってよかった」と言葉を言葉をまっすぐに気持ちよく受け取れます。

誰かに感謝の気持ちを伝えたいなら「すみません」ではなく、意識的に「ありがとう」を選ぶようにしてみてください。
その一言で、双方の気持ちがほっこりと温かいものになります。

まとめ

避ける言葉、伝える言葉

これに怖がって言葉に慎重になり過ぎる必要はありません。

無理に会話を広げようとしない、相手を見て、その人との時間を良いものにしたい気持ちがあれば、自然とクリアできるはずです。

言葉に宿る力を、幸せを生む力に変えていけますように。

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