ショートショート

プレゼント

私は、配信業をしている。「またGさんからのプレゼントだ」彼は、私の配信を売れる前から応援してくれていて、定期的にクマのプレゼントを贈ってくれるファンだ。私は、そのぬいぐるみをベッドの枕元に飾った。「おやすみ」クマに声をかけて、私は眠りについ...
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黒猫

朝、家を出ると黒猫が俺の車の前を横切った。「危ない」ハンドルを急いで切ると、車はガードレールに突っ込んだ。猫は轢かずに済んだものの、車は大破した。「大丈夫ですか?」と通りかかった女性が声をかけてくれ、救急車を呼んでくれた。しばらく治療にかか...
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ハチ公

飼い主の突然の死を受け入れられず、渋谷駅で待ち続けた忠犬ハチ公。そのストーリーをテレビで見ながら、私は溢れる涙をこらえることが出来なかった。「かわいそうなハチ公…」私は、隣で眠る愛犬の頭を撫でた。そろそろ時間だ。私は、鍵を閉めて家を出る。も...
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和英辞典

「サクラ咲く:You passed」「サクラ散る:You failed」「月がきれいですね:I love you」「Oh, wonderful.」「ぶぶ漬け(お茶漬け)いかがですか?:Please leave」「元気なお子さんですね:Con...
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共感力

私は、最近涙もろい。よく、歳をとると涙もろくなるというが本当だな。四十を過ぎてから、やたらと涙もろくなってしまった。秋に木の葉が落ちるのを見ては泣き、春にタンポポの綿毛が飛ぶのを見て泣く。今日は、台風に耐えている樹木を見て、涙が止まらなかっ...
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マッチ売りの少女

「マッチはいりませんか?」今日は大晦日。皆足早に通り過ぎてしまい、今日はまだ1個も売れていない。マッチを売り切らずに帰ると、家では厳格な父に殴られる。空腹と寒さで震えていた少女は、通りではなく、一件ずつ家を回ることにした。扉を叩き、家主が玄...
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タスケテ

朝、仕事に行こうとアパートを出ると、上から1枚の紙ヒコーキが落ちてきた。その中には「タスケテ」と書かれている。(またか)はじめは心配していたが、半年も毎日続くと、もういたずらとしか思えない。丸めて鞄に投げ入れ、仕事に向かった。彼に監禁されて...
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赤ずきんの問い

「おばあさんのお耳は、どうしてそんなに大きいの?」「それは、お前の声をよく聞くためだよ」「おばあさんのお目めは、どうしてそんなに大きいの?」「それは、お前の姿をよく見るためだよ」赤ずきんはゾクゾクしていた。オオカミがおばあさんのふりをしてい...
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バベルの塔

私は、今、世界的な建築物の責任者となっている。建築界の概念、歴史を塗り替えるような、大きなプロジェクトだ。完成目前となると、1日1回、脅迫電話が届くようになった。「この建物の完成はさせるな。恐ろしいことになるぞ」同業者の嫌がらせだろうと無視...
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新メニュー

裏通りに、小さなレストランがある。夫婦でやってる、アットホームなお店だ。少し気難しい旦那を、奥さんが笑顔で見守るこの夫婦には、客となれ合いの関係はないものの、心地よい雰囲気があった。久しぶりに、男がレストランを訪れた。新メニューがある。「煮...