監獄実験の再現

ショートショート

「スタンフォード監獄実験」という、「人は立場でどこまで残酷になれるか?」というテーマで、危険で途中で中断した実験があった。

心理学者は、同じシチュエーションで、監獄実験を再現する事とした。
ただ一つ、アレンジをした。

囚人役に
「本当の心の声が聞こえる」
と説明してイヤホンを装着させ、心理学者が副音声をつけた。

看守役は日に日に役になり切っていったが、

「とっとと歩け、豚野郎」
と言ったら、
「彼は豚が大好きで、ペットで豚を飼っています。名前はぴーちゃんです」
と話し、

「罰として腕立て100回だ」
と言ったら、
「彼は今、なんてひどいことをしているんだろうと自分を責めています。今晩帰ったら、倍の200回腕立て伏せをしようと心に誓っています」
と話した。

実験は最終日まで行われた。

別れる際、囚人役は
「君の方が辛かったことを知っているよ。ぴーちゃんによろしく」
と看守役に握手を求め、看守役は不思議そうな顔をしていた。

心理学者の論文テーマは
「人は、相手が善人だと信じれば、行為を許せるか」

実験は成功し、その論文は世界で賞賛された。

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