私はなおこ。なおちゃんって呼ばれてるの。
8歳の誕生日に、等身大サイズのお人形をプレゼントされた。
この人形には録音機能が空いており、私の声をそのまま、私と同じ声で復唱してくれる。
私は嬉しくていつも人形を持ち歩き、いつも話しかけた。
「あそぼー」
「あそぼー」
「何ごっこして遊ぶ?」
「何ごっこして遊ぶ?」
そしてある日、また人形に
「ねえ、まりちゃん」
と話しかけると、
「ちがう、まりちゃんじゃない」
と、私の言葉とは違う言葉を返してきた。
「では、だあれ?」
「わたしは、なおちゃん」
「じゃあ、わたしは?」
「あなたは、まりちゃん」
私の体は急に動かなくなった。
「なおちゃん、ただいま、いい子にしてた?」
パパとママが帰ってきた。
「うん。今日もまりちゃんと遊んでいたの」
(違うよ、パパ、ママ、なおちゃんは私だよ)
伝えたくても言葉が出ない。
「おはよう、まりちゃん」
「おはよう、まりちゃん」
「今、どんな気持ち?」
「今、どんな気持ち?」
私は、もう話しかけられた言葉を繰り返すことしか出来なかった。


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