未来旅行

ショートショート

博士は、人並外れた頭脳をタイムマシンの製作に注ぎ込み、ついに未来に行けるタイムマシンを発明した。

未来旅行の第一号だ。
博士はダイヤルを50年後に合わせ、未来へと出発した。

50年後の街並みは、どこかおかしい。
近未来都市になっているかと思っていたが、まったく進歩しておらず、むしろ衰退しているようだった。
信号機はところどころ電気が切れ、コンビニは廃屋になり、通りを歩く人もほとんどいない。

そこに通りかかった老人に、博士は声をかけた。

「私は50年前からきました。何かおかしい気がするのですが、何が起きているのですか?」

老人は、重いため息とともに話し始めた。

「若者が足りないんだ。どの仕事も働き手がいない。道路が陥没しても、信号が壊れても、直す人がいない。
若者は一日中、仕事を掛け持って働いている。
今日も病院に行ったが、待合室に入りきれないほど患者がいるのに、医者が過労で倒れてしまってね。諦めて帰ってきたんだ」

50年前が文明のピークで、その後は衰退していったらしい。

博士は老人の後ろ姿を見送り、現代へと帰ってきた。

未来旅行から戻った博士は、しばらく頭を抱えたあと、決意した。

タイムマシンを作っている時間はない。
自分の頭脳を、未来のためにつかわなければ。

博士はその日を最後にタイムマシンの開発をやめ、未来を照らす発明へと舵を切った。

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