サイドストーリー

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鶴の恩返し

「私が機を織っている時は、決して戸を開けないでください」女はそういって、機織りの部屋に入っていった。男は、女が鶴であることに、とうに気づいていた。鶴の所作が、食事の仕方や生活のいたるところに現れていたからだ。そして、機織りの部屋に入ると、機...
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織姫と彦星

七夕の一夜しか会えない織姫と彦星は、会えない時間の分、強い恋心でつながっていた。でも、それは二十代の頃の話である。三十代になると、「あれ?」と思うことが増えてきた。(白髪が出てきたな)(息、臭くなってきたな)一年ごとに、幻滅する部分が増えて...
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それからの浦島太郎

竜宮城で楽しい時間を過ごし、玉手箱を土産に帰ってきた浦島太郎。律儀な浦島太郎は、「数日留守にしたし、隣人に挨拶の手土産を届けなきゃ」と思い、留守を守ってくれたお礼に、竜宮城からもらった玉手箱を持参した。浦島太郎は、その後も若さを謳歌して暮ら...
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それからの青鬼

赤鬼のもとを去った青鬼は、一目を避けて人里離れた山の奥で一人で暮らし始めた。孤独ではあったが、誰にも差別されずに石を投げられない生活は、青鬼にとっては安らげる時間だった。山に住み始めてから青鬼は、この場所が口減らしのために人が捨てられる山で...
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眠り姫の目覚め

魔女の呪いによって眠りについた眠り姫。この呪いを説く方法は、王子のキスだけだった。姫の眠る城に足を踏み入れる者は訪れず、やがて屋敷には蔦が絡まり、草木が生い茂り、100年の時が流れた。そんなある日、たまたま通りかかった王子が「この城はなんだ...