ブラックユーモア

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マッチ売りの少女

「マッチはいりませんか?」今日は大晦日。皆足早に通り過ぎてしまい、今日はまだ1個も売れていない。マッチを売り切らずに帰ると、家では厳格な父に殴られる。空腹と寒さで震えていた少女は、通りではなく、一件ずつ家を回ることにした。扉を叩き、家主が玄...
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天国

男は、見慣れない場所にいた。どうやら死んでしまったらしい。男は生前、かなりの悪事を働いた。それによって多くの富を築いたが、最期は恨まれて殺されてしまったのだ。お花畑は広がっていないが、10分ごとに「コーヒーはいかがですか?」と伺われ、食事は...
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18禁

その映画は「18禁」と書かれていた。少年は、18歳になった日の夜に、ついにその映画を観ることができた。ワクワクしながら見ていたが、映画の終わりまで、全くそういう映像が出てこなかった。(どこが18禁なんだよ)と投げ捨てようとした時、裏に書いて...
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離婚式

ある日、ポストに招待状が届いていた。友人Y子夫妻からだ。「離婚式?」はじめて聞く名前に興味が湧いて、私は「参加」に〇をつけた。20年前に感動的な挙式を上げていた二人は、今日もまた、同じドレスを着て教会にいた。神父は「永遠の別れを誓いますか?...
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桃を拾ったおばあさん

おじいさんは山へしばかりに。おばあさんは川に洗濯に。山も川も歩いて半日ほどかかり、家に帰ったころにはお腹がペコペコだった。ある日、おばあさんが、川で拾ったという大きな桃を持ち帰ってきた。なんと大きな桃だろう。今晩は久しぶりにお腹いっぱい食べ...
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狭き門

「あなたは一度、困っている人に手を貸しませんでしたね」そう言われ、俺は左の門に案内された。左の門は長蛇の列ができ、右の門は、まだ一人も通過していない。経費削減のため、天国の門の審査はかなり厳しくなったようだった。そんな中、「おめでとうござい...
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竜宮城への案内

カメは、子供たちに頼んでいた。「私を殴るふりをしてくれないか?そこにひっかかる人がいたら、君たちにも分け前を与えよう」まんまとひっかかった浦島太郎。カメは後ろから子供たちに謝礼を渡し、浦島太郎を竜宮城へ連れて行った。何故かって?それは、ご主...
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サンタクロースの憂鬱

サンタクロースは悩んでいた。時間指定配達、期日指定配達が浸透し、宅配業者を苦しめているという。私なんて、24日の夜指定。配達箇所は世界中の良い子たちの家。1台のソリとトナカイだけを渡されて、やれっていうのはブラック過ぎやしないか?労働環境を...
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金の卵

男は、金の卵を産むニワトリを高値で買い取った。初期投資は痛かったが、これから生み続ける利益を考えれば、どうってことはない。しかし、買ったニワトリは、数日は金の卵を産んだが、それ以降は他のニワトリと変わらない白い卵を産むようになった。「どうな...
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治験

新薬の治験に、20人の人が集められた。薬を飲むと、数人が悶えはじめ、それがだんだんと増えていった。20人中18人が息絶えた治験会場で、新薬開発者は呟いた。「大成功だ。この薬こそ、未来に必要なんだ」こうして、未来に有益な人だけが選別される薬が...