ある日、ポストに招待状が届いていた。
友人Y子夫妻からだ。
「離婚式?」
はじめて聞く名前に興味が湧いて、私は「参加」に〇をつけた。
20年前に感動的な挙式を上げていた二人は、今日もまた、同じドレスを着て教会にいた。
神父は
「永遠の別れを誓いますか?」
と2人に語りかける。
「誓います」
「誓います」
2人は、見つめ合いながら宣言する。
「それでは、誓いのビンタを」
と声をかけられ、お互いに平手打ちをする。
「ビターン」
「ビターン」
式はだんだんクライマックスに向かう。
司会者が、
「では、新婦から両親への手紙があります」
と向けられると、Y子は、
「お父さん、お母さん、今まで私たちのけんかの仲裁をしてくれてありがとう。おかげで今日まで耐え忍ぶことが出来ました。今日からは自由に生きます」
と話す。
Y子も両親も感極まって泣き出し、参加者にもその涙が伝染していった。
「では、ブーケトスを行います。既婚者の女性は前に出てください」
と呼びかけられ、私を含め、5人の友人が前に出た。
ブーケはちょうど私の前に落ち、私が受け止める。
Y子は、私に歩み寄り、
「今度はあなたの番よ」
と告げて抱きしめてくれた。
私は、家に帰ると、夫がソファに寝そべってテレビを見ていた。
「遅いよ。ご飯まだ?」
今まで思わなかったけど、改めて見るとトドみたいだな、と思う。
加齢臭もする。
「次は私の番…かぁ」
そう呟いて台所に向かった。

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