男は、古物商から魔法のランプを買った。
「ランプをこすると魔人が出てきます。魔人は、願い事を三つまで叶えてくれます」
(これが噂に聞いた魔法のランプか。これで人生楽勝だな)
男は家に帰ると、早速ランプをこすり、魔人を呼び出した。
「ご主人様。願い事は何でしょう?」
「金持ちにしてくれ」
「一つ目の願い、叶えましょう」
魔人はそう言い、履歴書を出した。
男は察した。
(この魔人はハズレだな……)
魔人は履歴書の書き方をレクチャーし、面接対策を指導してくれた。
男は大手商社に就職し、魔人のアドバイスを聞きながら、どんどん昇進をしていった。
お金持ちになった男は、魔人に言った。
「女性にモテたい」
「二つ目の願い、叶えましょう」
魔人はそう言い、その日から毎日、男に十キロのマラソンを課し、伴走をしてくれた。
人の心の機微と思いやりの大切さを教えてくれて、男は素朴ながらも優しい女性と出会い、お互いを労わり合い、幸せな結婚生活を送った。
月日は流れ、男は三つ目の願いを何に使おうか考えていた。
「幸せになりたい」
これが人生の最大の価値だと気付き、魔人を呼ぼうかと思ったが、老人はランプをこする手を止めた。
幸せは、もうすでに手にしている。
それなら、最後の願いは決まっていた。
男はランプをこする。
「ご主人様、願い事は何でしょう?」
「人を幸せにしたいんだ」
「三つ目の願い、叶いましょう」
魔人の課す課題は、今回が一番困難であった。
でも、きっとやりとげてみせる。
今日も、男と魔人は伴走して世界に向かっている。



コメント