おじさんは、子どもの頃から私の事をそばでみていて、ずっと支えてくれている。
私は生まれつき目が見えず、母がそんな私を女手一つで育ててくれた。
母の死の直後に、角膜移植手術のチャンスが訪れ、初めて見たのがそのおじさんだった。
おじさんは、身寄りのない私の世話をしてくれ、金銭的な支援もしてくれた。
一つだけ、面倒くさいことがある。
帰りが遅いとすごく心配したり、友達や彼氏との会話を、やたらと詳細に聞きたがることだ。
でも、これも愛情が故と思うし、おじさんへの信頼や愛情が揺らぐことはない。
おじさんは照れ屋で、私が目を見るとさっとそらしてしまう。
私にとっておじさんは、これからも一番の大切な人だと思っている。
本人には恥ずかしくって言えないけどね。
この子の瞳が怖い。
私は人生でただ一つ、大きな悪事をした。
あの頃はお金に困っていて、空き巣強盗をしていたのだが、ある日、物色中に家主が帰ってきてしまい、その人を殺してしまったのだ。
その女性の背後に立っていた娘が、こっちをずっと見ていたが、その子を残して私はその場を逃げ出した。
(しまった、見られてしまった)
数か月を緊張の中過ごしたが、警察の捜査が自分に向かう事はなかった。
それでも、あの子の瞳を忘れられなかった私はその子を探したが、アパートはすでに引き払われており、見つけた時は病院だった。
彼女は、僕の顔をみて
「おじさん、誰?」
と尋ねる。
(誰だと?は?白々しい)
そう思いながらも、身寄りがなくなった彼女のもとを離れると、児童養護施設や親戚の元に行くことになるだろう。
自分のことを喋られたらたまらない、と一緒に暮らす決意をした。
前回の殺人で悪事に懲りた私はまっとうに働き始め、2人分の生活費を頑張って捻出した。
全ては彼女を監視下に置くためだ。
彼女は母親の話には触れずに、学校のこと、友達のことなど、たわいもない話だけをしてくる。
でも、その瞳を見ていると、あの日の光景がフラッシュバックしてしまい、どうしても目を逸らしてしまう。
外出先から逃げる事も出来るし、友人、恋人に私のことを話すことも出来るのに、私から逃げるそぶりも見せずに、なぜか、まだ誰にも話していないようだ。
だんだん、彼女の本心がわかってきた気がする。
これは、彼女からの私への「罰」の形なんだと。
自分だけが秘密を握り、無言で私を責めてくる。
お願いだ。
私を責めてくれ。罵ってくれ。私をこの苦しさから解放してくれ。

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