短編集

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宇宙飛行士の帰還

火星の調査の後、男は地球に向かっていた。広い宇宙を旅したが、青く美しい星は、地球だけだった。子どもの頃から空を眺め、宇宙に出ることに憧れていたが、離れて改めて故郷である地球の美しさに気づいた。多くの植物や生命の輝きが、その美しさの源になって...
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イーハトーブに想う

アメニモマケズ学生時代にこの詩に感銘を受けた私は、生涯にわたってこの生き方に倣おうと心に決めた。人間関係では、困っている人に心を寄せて、手助けできることを探した。職場でも、人の嫌がる仕事を率先して行い、自分の手柄より、周囲をサポートすること...
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それからの浦島太郎

竜宮城で楽しい時間を過ごし、玉手箱を土産に帰ってきた浦島太郎。律儀な浦島太郎は、「数日留守にしたし、隣人に挨拶の手土産を届けなきゃ」と思い、留守を守ってくれたお礼に、竜宮城からもらった玉手箱を持参した。浦島太郎は、その後も若さを謳歌して暮ら...
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眠り姫の目覚め

魔女の呪いによって眠りについた眠り姫。この呪いを説く方法は、王子のキスだけだった。姫の眠る城に足を踏み入れる者は訪れず、やがて屋敷には蔦が絡まり、草木が生い茂り、100年の時が流れた。そんなある日、たまたま通りかかった王子が「この城はなんだ...
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人生シネマ

少年が入った映画館は、今日は貸し切りだった。案内人が「では上演を開始します」と告げる。暗い世界から始まり、そこには、のぞき込む1人の男がいる。笑いながら泣いている。やがて画面に映る顔は、2人の男女になり、いないいないばあをしたり、しきりに画...
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犬系女子

「俺って犬系女子が好きなんだよね」片思いのS君の会話が耳に入った私は、その日から犬系女子の研究をした。「尻尾が振っているのが浮かぶくらい、笑顔で話を聞く」「甘えん坊で、上目遣いで見つめる」これを心がけるようにしたら、S君と目が合うことが多く...
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男と魔法のランプ

男は、古物商から魔法のランプを買った。「ランプをこすると魔人が出てきます。魔人は、願い事を三つまで叶えてくれます」(これが噂に聞いた魔法のランプか。これで人生楽勝だな)男は家に帰ると、早速ランプをこすり、魔人を呼び出した。「ご主人様。願い事...