短編集

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織姫と彦星

七夕の一夜しか会えない織姫と彦星は、会えない時間の分、強い恋心でつながっていた。でも、それは二十代の頃の話である。三十代になると、「あれ?」と思うことが増えてきた。(白髪が出てきたな)(息、臭くなってきたな)一年ごとに、幻滅する部分が増えて...
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理想の彼女

彼女は、僕の理想にぴったりだ。当然のことだ。私が自分の理想に合わせて作り上げた、AI人間だからだ。顔は本当にかわいいから、ずっと見惚れていた。でも、美人は三日で飽きるとは本当で、数日見ているうちに美しさには興味がなくなった。それでも、性格も...
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優しいおじさん

おじさんは、子どもの頃から私の事をそばでみていて、ずっと支えてくれている。私は生まれつき目が見えず、母がそんな私を女手一つで育ててくれた。母の死の直後に、角膜移植手術のチャンスが訪れ、初めて見たのがそのおじさんだった。おじさんは、身寄りのな...
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鳴かぬなら

「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス と言ったのが織田信長、鳴かぬなら 鳴かせてみよう ホトトギス と言ったのが豊臣秀吉、鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス と言ったのが徳永家康、という逸話が残っています。私は家康型です。従業員の皆さ...
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アリとキリギリス

A男は、若いころから遊びもせず、勉強や仕事の場面でも、真面目で誠実であることを評価されてきた。収入も多くなく、未来のために貯蓄して、爪に火を点すような慎ましい生活をしてきた。老人になって人生を振り返り、コツコツと働きアリのような生活をしてき...
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サンタクロースの憂鬱

サンタクロースは悩んでいた。時間指定配達、期日指定配達が浸透し、宅配業者を苦しめているという。私なんて、24日の夜指定。配達箇所は世界中の良い子たちの家。1台のソリとトナカイだけを渡されて、やれっていうのはブラック過ぎやしないか?労働環境を...
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金の卵

男は、金の卵を産むニワトリを高値で買い取った。初期投資は痛かったが、これから生み続ける利益を考えれば、どうってことはない。しかし、買ったニワトリは、数日は金の卵を産んだが、それ以降は他のニワトリと変わらない白い卵を産むようになった。「どうな...
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花屋

この仕事には、ドラマがあると感じる。誕生日、プロポーズ、結婚式、母の日、最期のお別れ…。人生の大切な一ページに、いつも花がある。ある日、花屋に一人の女の子が訪ねてきた。「花を一輪欲しいんだけど……お金がないの」私は、「お代はいらないよ、どの...
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それからの三匹の子ブタ

藁の家を壊されて逃げてきた長男と、木の家を壊されて逃げてきた次男は、三男のレンガの家に逃げ込んで、オオカミから襲われずに済みました。めでたしめでたし。だったのだが、もともと怠け者だった兄弟たちは、「どうせ俺たちが建てる家はオオカミに壊されて...
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治験

新薬の治験に、20人の人が集められた。薬を飲むと、数人が悶えはじめ、それがだんだんと増えていった。20人中18人が息絶えた治験会場で、新薬開発者は呟いた。「大成功だ。この薬こそ、未来に必要なんだ」こうして、未来に有益な人だけが選別される薬が...