花屋

ショートショート

この仕事には、ドラマがあると感じる。

誕生日、プロポーズ、結婚式、母の日、最期のお別れ…。
人生の大切な一ページに、いつも花がある。

ある日、花屋に一人の女の子が訪ねてきた。
「花を一輪欲しいんだけど……お金がないの」

私は、
「お代はいらないよ、どの花がいい?」
と言って、女の子が選んだ一輪のカーネーションを渡した。

(母親へのプレゼントだったろう、喜んでもらえるといいな)
そう花屋は思いながら、家路に着いた。

帰宅し、花屋がテレビをつけると、ちょうどニュースの時間だった。
「6歳の女の子が母親に殺害されました。体には複数のあざがあり…」
そのニュースに一瞬映った室内の映像で、花屋の頭が真っ白になった。

テーブルの上に、あのカーネーションが一輪、置かれていた。

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