2026-03

ショートショート

ぴーちゃん

結婚して子供も授かる気配がなかった夫婦は、インコを飼い始めた。「おはよう」「ぴーちゃん」我が家のインコはよくしゃべる。「ぴーちゃん、かわいい」「しねばいいのに」「えっ?ぴーちゃん、今、何て?」その日の夜、妻はそっと家を出た。
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のろまなカメ

「ウサギは、昼寝をしているうちに、カメがゴールに着いてしまいました。さぁ、皆さんのお手本にするのはどちらですか?」「カメでーす」子供たちが一斉に答える。「……いいですか。遅くて、休憩もしないでやっと勝てるカメをお手本にするなんて、将来は社畜...
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十六夜

1人の彫刻家がいた。天賦の才に加え、寝食を削るほどの努力家であった彫刻家は、他の追随を許さないほどの存在となり、芸術家としての黄金期を迎えていた。彫刻家が、自分でも見惚れるほどの「聖母マリア像」が完成したその夜、彼は頭を殴られたような激しい...
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未来の色

私の持っているロボットは、未来が予見できる。しかし、教えてくれるのは、未来の持つ「色」だけである。「明日の天気は?」「灰色」翌日は曇りだった。私はロボットに、恋愛の未来を見てもらうことにした。「この人は、明日デートしたらどうなる?」「ピンク...
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暗闇の世界

「ここはどこ?」光はなく、常にザザーという静かな音だけが聞こえる。「トクン、トクン」という規則的な音が心地よい。時折、壁を通して優しい音楽が聞こえたり、こちらに話しかける声が聞こえる。でもその言葉の意味は、僕にはわからない。声は、男の人と女...
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きびだんご

桃太郎は、おばあさんが作ってくれたきびだんごを腰につけて、鬼退治に出発した。「桃太郎さん、お腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな」そう声をかけてきた犬、猿、雉に、「これから鬼を成敗に行く。家来としてついてくるなら後であげよう」と答えた。...
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女は、優しい男と結ばれ、幸せな結婚生活を送っていたが、たった一晩だけ浮気をした。その後、子を身籠ったことを知る。男との子供であることを祈り、その子を出産することにした。生まれた赤ちゃんの瞳の色は、男とは違っていた。男は責めず、子供にたくさん...
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宇宙飛行士の帰還

火星の調査の後、男は地球に向かっていた。広い宇宙を旅したが、青く美しい星は、地球だけだった。子どもの頃から空を眺め、宇宙に出ることに憧れていたが、離れて改めて故郷である地球の美しさに気づいた。多くの植物や生命の輝きが、その美しさの源になって...
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あすなろ

私は、あすなろの木が好きだ。明日は檜になろう、檜になろうと思いながら、どんなに足掻いても檜にはなれない。私と姉は、子どもの頃からピアノを弾いていた。姉は、才能の煌めきに満ちていて、誰もがその輝きの虜になる。私も姉に届こうと、姉の何倍も練習を...
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さっちゃん

私が小学生の頃、「さっちゃん」という、嘘しか言わない女の子がいた。「あの芸能人、私のいとこなんだよ」「学年のアイドルの男の子に告白された」「テストで満点を取った」あまりにわかりやすい嘘をつくので、同級生は次第に距離を置くようになった。外見が...