あすなろ

ショートショート

私は、あすなろの木が好きだ。
明日は檜になろう、檜になろうと思いながら、どんなに足掻いても檜にはなれない。

私と姉は、子どもの頃からピアノを弾いていた。
姉は、才能の煌めきに満ちていて、誰もがその輝きの虜になる。
私も姉に届こうと、姉の何倍も練習をした。
でも、人よりは上手だねと言われるものの、月並みな演奏しか出来ない。

あすなろの語源を聞いて、私は「あぁ」と腑に落ちた。

姉は檜であり、私はあすなろなのだ。
この先、何十年経っても、人生の全てを犠牲にしても、あの羨望の眼差しを向けられる日は、来ることはないのだ。

あすなろは、自分が檜ではないと気づいた時、

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