デスゲーム

ショートショート

人を信じれない男は、いずれ密室でのデスゲームを開催し、人が蹴落とし合う姿を見て楽しめる日を夢に描いて生きていた。

男は人里離れた廃屋を買い取り、年月をかけ、ようやく念願のデスゲームを決行できる舞台は整った。
参加者は4人。どんな人が来ようと、人は裏切り合い、蹴落とし合うだろう…。
特に個人的私怨のない男は、側近に4人の参加者の選定を任せた。

側近は、男に黙って選定にちょっとしたいたずらをした。
1人目は、一休さん並みにとんちがきく男。
2人目は、ひきこもりで、めんどうくさがりな男。
3人目は、言葉尻をとらえて追及する、弁護士の男。
4人目は、ルールを聞く前に勝手に判断して動いてしまう、はやとちりな男。

当日、廃屋の一部屋に集められた4人のいる部屋に、声が響く。

「さあ、デスゲームのはじまりだ。この部屋から出れるのは1人。君たちには最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう」

4人の反応はそれぞれだった。
とんち男は「出れるのは1人かぁ。出れる、出される…。うーん」
引きこもり男は「俺はこの部屋から出なくてもいいや。広いし、静かだし」
弁護士男は「このゲームは違法性がある。法律にひっかかるぞ」
早とちり男は、聞く前から「あっ、そろそろお昼の時間だ、ご飯屋さん近くにあるかな?」と部屋を出ようとする。

「まあ聞いてくれ、戸棚に武器がある。その武器を使って殺し合いを…」

話が終わる前に、早とちり男が戸棚ののこぎりで、玄関をこじあけ出ようとする。

「いや、殺し合いを…」

男がとまどいながらも話すが

「ご飯食べてくるね」と出ていってしまった。

気を取り直し、男が改めて説明する。
「ええっと…。では、あらためてデスゲームのはじまりだ。この部屋から出れるのは1人。君たちは最後の1人になるまで殺しあいをしてもらう。戸棚の武器を選んで、殺し合いを見せてくれ」

弁護士男が武器を眺めながら
「銃刀法違反ですよ。届け出は出しているんですか?」
と詰め寄る。

「いや、法律はあまり…」

口ごもる男に
「これは逮捕案件だ、あなたは今、監禁罪、銃刀法違反の罪を犯している。訴えるぞ」
と弁護士男はまくし立ててきた。

そこへ、ひきこもり男が
「ここに長く住み着くためには護身のために持っておきたい」
と武器を全部懐に詰め、そのまま眠り始めた。

そこへ、昼ご飯を食べ終えた早とちり男が戻ってくる。
「近くに美味しい定食屋さんがあったよ。で、なんだっけ?」

その状況を見たとんち男が
「もう1人外に出ちゃったからだからこの部屋からは誰も出れないね」
「だから、ここで皆で暮らそう。よろしく」
と話す。
「ラッキー、じゃあここから出れないから食事は毎回ウーバーイーツだね。昼の生姜焼き抵触お勧めだよ」とすでに仲良くなり、共同生活の準備を始めている。

男は静かに

「……いや、もういい。帰ってくれ」

4人は顔を見合わせた。

「帰っていいんだって」
「じゃあ、帰ろっか」

デスゲームは、その日を最後に開催されることはなかった。

理由は簡単だ。

男が、二度とやる気を出さなかったからだ。

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