「ここはどこ?」
光はなく、常にザザーという静かな音だけが聞こえる。
「トクン、トクン」
という規則的な音が心地よい。
時折、壁を通して優しい音楽が聞こえたり、こちらに話しかける声が聞こえる。
でもその言葉の意味は、僕にはわからない。
声は、男の人と女の人。返事をしたくても届かない僕が、精一杯体を動かすと、二人の声はうれしそうな声色に変わる。
眠くて仕方がないが、目が覚めた時は、二人に届けと力いっぱい壁を蹴り上げ、
「ここにいるよ」
と伝えようとする。
ザザーという音とトクントクンという音。
2人の男女の声と、時折混ざる低い大人の声。
暗闇の世界は長い間続いた。
そしてとうとう、僕は光のある世界にへと出ることが出来た。
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
まばゆいばかりの光の世界。
「やっと会えたね、私の赤ちゃん」
それは暗闇の中で聞こえていた、優しい声だった。



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