僕がパイロットになったのには訳がある。
幼いころ、母が亡くなる時、
「悲しがらないで。これからはあなたのことを雲の上から見ているからね」
と言う言葉を遺していったからだ。
それ以来、僕は空を見上げることが多くなり、やがて空を旅する仕事をしよう、とパイロットになったのだ。
そして、今日も操縦席に座り、今、雲の上にいる。
フライト中、操縦室にコーヒーが運ばれる。
(また来たか)
何も言わず、笑顔で自分の隣にコーヒーを置いて操縦室から退出する。
「ありがとう、お母さん」
空を飛ぶ限り、僕は母に会えるのだ。


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