少年は苦悩していた。
(これが僕の限界なんだ、わかってくれ)
トンビが鷹を生む。
これは、珍しくないと少年は感じていた。
自分の生い立ちに悔いて、子供の教育に力を入れてくれる。
親も、自分の子どもなのに、という認識があるから、親を少しでも抜くと、
「うちの子すごい、天才」
と褒めてくれる。
(うちの親もそんな親だったらよかったのに)
少年の両親は、東大出の官僚というエリートだった。
息子である少年にも同じハードルを求め、テストで平均点以上をとっても、
「満点以外に価値はない」
と責められた。
塾に行っても、家庭教師をつけても、両親の求める成績には届かない。
少年は、自分の限界を自覚してきたが、両親は
「私たちの息子なんだから、そんなはずはない」
と、認めようとしない。
今年もまた、東大に落ちてしまった。
四浪に突入する。
(僕はトンビなんだよ、もう解放してくれ)
少年の心の叫びは、まだ届かない。


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