男は、一人の女性に恋をした。
男は、彼女が喜ぶようなプレゼントを贈り続けた。
ある日は時計を。ある日はネックレスを。
彼女の喜ぶ顔が見たくて、男は一生懸命仕事に精進した。
そしてついに婚約指輪を贈り、二人は結婚した。
やがて女性は赤ちゃんを身籠り、かわいい女の子が生まれた。
赤ちゃんが生まれるといろいろな準備が必要になる。
「ベビーベッドが欲しいわね」
と女性が呟くと、男は数日後にベビーベッドを贈った。
女の子が成長するごとに、子供部屋には男がプレゼントしたぬいぐるみで溢れかえるようになった。
「パパ、ありがとう」
と娘が抱き着くと、男は
「この笑顔が、パパの仕事のエネルギーだよ」
と娘を抱きしめる。
そして明日は、娘の結婚式だ。
ウェディングドレスは、もちろん男からのプレゼントだ。
「これが最後になりそうだな」
男は呟いた。
男は、強盗殺人を生業にしていた。
まず欲しいものを決め、それを所有している人をターゲットにする。
はじめは、宝飾品をつけている若い女性をターゲットにし、結婚してからは、出産間近の妊婦。
しだいに幼い子供へと移行していった。
そして今日は、また若い女性の家の玄関にいる。
挙式を目前にして、新生活の準備している女性の、玄関のベルを鳴らす。
「こんにちは。宅配便です」


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