バッドエンド

ショートショート

ハチ公

飼い主の突然の死を受け入れられず、渋谷駅で待ち続けた忠犬ハチ公。そのストーリーをテレビで見ながら、私は溢れる涙をこらえることが出来なかった。「かわいそうなハチ公…」私は、隣で眠る愛犬の頭を撫でた。そろそろ時間だ。私は、鍵を閉めて家を出る。も...
ショートショート

タスケテ

朝、仕事に行こうとアパートを出ると、上から1枚の紙ヒコーキが落ちてきた。その中には「タスケテ」と書かれている。(またか)はじめは心配していたが、半年も毎日続くと、もういたずらとしか思えない。丸めて鞄に投げ入れ、仕事に向かった。彼に監禁されて...
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赤ずきんの問い

「おばあさんのお耳は、どうしてそんなに大きいの?」「それは、お前の声をよく聞くためだよ」「おばあさんのお目めは、どうしてそんなに大きいの?」「それは、お前の姿をよく見るためだよ」赤ずきんはゾクゾクしていた。オオカミがおばあさんのふりをしてい...
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名所めぐり

「これが東京タワーです」「おぉ、すごい」「次は、スカイツリーにご案内します」バスはその後、六本木ヒルズ、東京都庁などを巡った。2100年。「東京廃墟ツアー」。天高くそびえる建物は、今は蔦に覆われて、風の抜ける音が響いていた。
ショートショート

プレゼント

男は、一人の女性に恋をした。男は、彼女が喜ぶようなプレゼントを贈り続けた。ある日は時計を。ある日はネックレスを。彼女の喜ぶ顔が見たくて、男は一生懸命仕事に精進した。そしてついに婚約指輪を贈り、二人は結婚した。やがて女性は赤ちゃんを身籠り、か...
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時効

娘が殺されて20年。ついに時効の日が来てしまった。あの日から、娘を守れなかったふがいなさと犯人への怒りは、年月とともに薄まることもなく、今でも犯人が現れたら怒りで殺してしまうかもしれない。時効の朝、「犯人、見つけてあげれなくってごめんね」と...
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蜘蛛の糸

俺は、多くの罪を犯してきた。地獄に落ちても仕方のないような男だ。ある日、空腹でふと空を見上げると、そこに一本の細い糸が空から降りてきていた。「もしかして、これがあの有名な蜘蛛の糸か?」そういえば、俺も以前に一度、逃走中に足元にいる蜘蛛を助け...
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強迫神経症

今日もコンロの火が気になる。きっかけは、火の消し忘れだった。それから、一日に何度も確認しないと気が済まなくなった。症状はどんどんひどくなり、次は鍵の閉め忘れが気になり、外出先から何度も引き帰さなきゃいけなくなり、仕事にも行けなくなり、外出も...
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人口調整法

人口が爆発的に増え、食糧難の問題が深刻になった。そこで、政府は新しい法律を制定した。「人口調整法」子どもを出産する際には、その人数を間引いて調整すること。夫婦は、子供を身籠ると、誰を間引くか夫婦で殺害計画を立て始める。非力で孤独な老人が、タ...
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足跡

私は、仕事で成功をし、莫大な富を築いた。その富におぼれず、社会貢献活動もしている。そんな私だが、消したい過去がある。成功する前、若気の至りで、かなりの悪さをしていたのだ。もう足を洗ったが、私が成功してから、かつての悪友が自分の前に顔を出すよ...