俺は、多くの罪を犯してきた。
地獄に落ちても仕方のないような男だ。
ある日、空腹でふと空を見上げると、そこに一本の細い糸が空から降りてきていた。
「もしかして、これがあの有名な蜘蛛の糸か?」
そういえば、俺も以前に一度、逃走中に足元にいる蜘蛛を助けたことがあった。
善行はしておくものだな。
俺は、目の前にある糸に掴まった。思ったよりも丈夫だ。
上り始めてしばらくすると、自分の下からも多くのゴロツキが糸を上ってきている。
(糸が切れるじゃないか?降りろ)
そう言おうとしたが、ふと思った。
(これを言ったらカンダタと同じで、自分もまた落ちてしまう)
俺は、
「皆で行こう、俺に続け」
と、皆で糸を上り続けた。
ようやく雲が見えてきた。
あの先にお釈迦様がいるんだな。
その頃、雲の上からお釈迦様は、下界の様子を微笑みながら眺めていた。
そして、自分の垂らした糸を眺めながら、
「今日はよう釣れたわ」
と話し、そのまま糸を口に運び、まるごとごくんと飲み込んだ。


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