小説

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聖徳太子

かの聖徳太子は、十人もの話を同時に聞き分けたという。どうやら、うちの息子は聖徳太子並みの耳を持っているかも知れない。朝は、テレビを見ながら携帯で動画を鑑賞し、私の「今日はお弁当いる?部活はあるの?」の質問にも「いるに決まってるだろう、うるせ...
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コンビニ強盗

男は、コンビニの店員に銃を向けて言った。「命が惜しかったら、レジの中の金をよこせ」店員は、「出せません」と渋る。今時、強盗には抵抗せずにお金を渡せというのが通説のはず。(頭の悪い店員だな)そう思い、銃の引き金に手をかける。「わかりました。開...
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最後のアダムとイブ

人類の滅亡の日が、刻々と近づいている。とうとう最後の2人になった。男の名はアダム。女の名前はイブ。2人は何度も愛し合ったが、命を宿すことが出来なかった。人生の終わりを悟ったアダムは、遺していくイブにこう語りかける。「命あるものは君だけになる...
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枕になりたい

Y子ちゃんが好きだ。彼女が前を通り過ぎた時に、シャンプーの香りがした。なんていい香りなんだ、ずっと嗅いでいられたらいいのに。僕は、Y子ちゃんの枕になりたいそう星に祈った。目が覚めると、僕はY子ちゃんの枕になっていた。彼女のシャンプーの香りに...
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不眠症の伯爵

眠れない伯爵は、自分が眠れるように、国中から音楽家を呼び寄せた。チェリスト、ヴァイオリニスト、ピアニスト…。でも、どんな楽器でも、誰の演奏でも不眠を治すことは出来なかった。そんな伯爵のもとに、一人の声楽家が訪れる。その歌は拙かったが、なぜか...
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あの日のお兄さん

暗くなる公園で、僕と弟は帰るのを躊躇っていた。(今日もお母さん、酔っぱらってるかな?今晩も殴られるんだろうな)「お兄ちゃん、帰ろう」「… うん、そうだね、帰ろうか」家路に向かおうとした時、一人のお兄さんが声をかけてきた。「やすくん、こんばん...
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ぴーちゃん

結婚して子供も授かる気配がなかった夫婦は、インコを飼い始めた。「おはよう」「ぴーちゃん」我が家のインコはよくしゃべる。「ぴーちゃん、かわいい」「しねばいいのに」「えっ?ぴーちゃん、今、何て?」その日の夜、妻はそっと家を出た。
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のろまなカメ

「ウサギは、昼寝をしているうちに、カメがゴールに着いてしまいました。さぁ、皆さんのお手本にするのはどちらですか?」「カメでーす」子供たちが一斉に答える。「……いいですか。遅くて、休憩もしないでやっと勝てるカメをお手本にするなんて、将来は社畜...
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ある老婆と息子

踏み込んだアパートには、死後数か月経過した、二つの死体があった。「母親が亡くなって、その後息子が餓死したみたいですね」「息子はおむつが当ててあった。介護が必要だったんだろうな、かわいそうに」二人の刑事は状況を判断し、手を合わせた。僕は戸惑っ...
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十六夜

1人の彫刻家がいた。天賦の才に加え、寝食を削るほどの努力家であった彫刻家は、他の追随を許さないほどの存在となり、芸術家としての黄金期を迎えていた。彫刻家が、自分でも見惚れるほどの「聖母マリア像」が完成したその夜、彼は頭を殴られたような激しい...