2026-04

ショートショート

口裂け女

「私、きれい?」「もちろん、おきれいですよ」女はマスクを外し、口を見せる。「私、きれい?」「だから、きれいって言っているじゃないですか。しつこいなぁ」私は、美容外科医だ。毎日、コンプレックスを抱えた女性がたくさん診察に訪れる。大体は、「おき...
ショートショート

桃を拾ったおばあさん

おじいさんは山へしばかりに。おばあさんは川に洗濯に。山も川も歩いて半日ほどかかり、家に帰ったころにはお腹がペコペコだった。ある日、おばあさんが、川で拾ったという大きな桃を持ち帰ってきた。なんと大きな桃だろう。今晩は久しぶりにお腹いっぱい食べ...
ショートショート

双子

私と妹は一卵性双生児で、本当に見分けがつかなかった。そして私たち双子は、外見に恵まれていた。美貌と瓜二つな外見で、私たちは幼少期からずっと人目を引き、告白される人生だった。私は、多くの言い寄ってきた男性の中から、最も容姿が良く、賢く、経済的...
ショートショート

地獄

男は、多くの悪事を働き、地獄へ墜ちてしまった。血の池があり、針の山があり、阿鼻叫喚が響き渡る。そこには鬼が、恐ろしい顔で地獄の者たちをしばいている。その時、どこからか「蛍の光」が聞こえてくる。「もうすぐ閉館になります。また明日のご来場をお待...
ショートショート

箱の中

僕は、ある日家に人がバタバタと入ってきたと思ったら、後ろから押され、この箱に閉じ込められた。かろうじて食事が投げ入れられる隙間だけがあるものの、昼か夜かもわからず、時間の感覚もなくなりそうだ。食事が三回投げ込まれたら「一」と数え、正の字をつ...
ショートショート

時効

娘が殺されて20年。ついに時効の日が来てしまった。あの日から、娘を守れなかったふがいなさと犯人への怒りは、年月とともに薄まることもなく、今でも犯人が現れたら怒りで殺してしまうかもしれない。時効の朝、「犯人、見つけてあげれなくってごめんね」と...
ショートショート

井の中の蛙

僕は、田舎の小学校で「神童」と呼ばれていた。皆に尊敬され、学校では「Ⅿの成績を見習え」と話され、近所のおばさんには、「うちの子もⅯくんみたいになってほしいわぁ」と引き合いに出されることが多かった。高校進学の時、「こんなところにくすぶっている...
ショートショート

同窓会

俺は、パッとしない学生時代を送り、パッとしない就職をし、パッとしない結婚をして、今もまた、相変わらずパッとしない毎日を送っている。そんなある日、中学校の同窓会の案内状が届いた。今、交流のある奴もいないから、これが何かのきっかけになるかな?と...
ショートショート

側近

私の特技は、会話だ。何も、特別なことは言っていない。自分の意見を挟まず、相手が答えを導けるよう、会話で誘導する。結果、私はトップの人物の側近に置かれ、大切な財産も任されるようになった。現場で働き、その地位を狙っていた人には、私の存在は疎まし...
ショートショート

偽善者

私は偽善者だ。常に、心ではなく、頭で考えて行動している。どう動けば、良い人間に思われるか?感謝され、尊敬されるか…。私の策略は、すべて計算通りに進み、今はノーベル平和賞の授賞式の壇上にいる。何十年もこの生き方をしていて、気づいたことがある。...