井の中の蛙

ショートショート

僕は、田舎の小学校で「神童」と呼ばれていた。

皆に尊敬され、学校では
「Ⅿの成績を見習え」
と話され、近所のおばさんには、
「うちの子もⅯくんみたいになってほしいわぁ」
と引き合いに出されることが多かった。

高校進学の時、
「こんなところにくすぶっているのはもったいない」
と皆に背中を押され、田舎を離れ、県内屈指の進学校に進学した。

ここに来て、自分はたいしたことない人間だと気づく。
どんなに勉強しても、真ん中あたりから上には上がれないのだ。

大学進学は、一流と言われる大学は、全部落ちてしまった。

もう、誰も僕を
「すごい」
と褒める人はいない。

まだこれから先、社会という大きな海が待っている。
田舎で、羨望を集めていたあの頃に戻りたい。
大きな海原が怖い。

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