死刑囚の夜

ショートショート

長い廊下を通り、部屋に通されると、輪になったロープが垂れ下がっている。
「嫌だ、やめてくれ」
泣き叫び、抵抗する私を両脇から掴み、台に上げられる。
床の板が落ち、ロープが首に食い込んでいく。
(苦しい、助けてくれ…)

目が覚めると、そこは独房だった。
この夢を、男は毎晩見ている。
あと何回、この夢を見なきゃいけないんだろう…。
男の死刑は執行されないまま、月日が流れた。

「115番」
看守が呼びに来る。
長い廊下を通り、部屋に通されると、輪になったロープが垂れ下がっている。
そのロープを前にして、男の心は冷静だった。

男は安堵の笑みを浮かべ、階段を上がっていった。

(よかった、今晩からは、もうあの夢を見なくていいんだ)

男の足元の板が開かれた。

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