私はスーパーマンの正体を知っている。
私の同僚だ。
職場の人皆が、何となく気づいている。
いつ呼ばれても大丈夫なように、通勤バッグにスーパーマンの服を入れて持ち歩いており、書類を出す時に時々見えているからだ。
スーパーマンを呼ぶ声が聞こえると、彼は商談中だろうと、会議中だろうと、
「ちょっと失礼」と抜け出し、どこかに行ってしまう。
そんな仕事ぶりだから、彼には大事な仕事は任せられず、ずっとぱっとしないままだ。
だからこそ、彼は
「スーパーマン」
でい続けることを選んでいるのかもしれない。
今日も
「助けて、スーパーマン」
の声に、彼は仕事を抜け出し、そのまま帰って来ない。
彼の分の仕事の穴を埋めて、深夜まで残業している私が
「こっちを助けろよ、スーパーマン」と呟くが、彼は現れなかった。


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