はじめに
「調和」というと、「自己主張をせずに空気を読む事?」と感じる方もいるかもしれません。
私の考える「調和」はそれとは違います。
「自分も活かし、人も活かす」そんな新しい「調和の形」をご紹介します。
調和のために行動を起こす。
一見ちぐはぐなようですが、調和とは行動あってこそ、心穏やかに過ごせる環境が作られると私は思うのです。
人を活かすために、場を読んで行動する
皆が行動していない時は、自分も行動しない。
発言がない時は、自分も意見を言わない。
周囲から目立たない行動をとる。
そんな「空気を読む」行動が、日本人の美徳のように語られることがあります。
「出る杭は打たれる」
「集団の輪を乱さない」
そうやって、本来は誰かが行動するべき場面をやり過ごし、不満や意見があっても言わずに飲み込む。
そういう風に「波風を立てずに過ごすことがそれが正しい」とされてきた部分もあるでしょう。
しかし、本来の調和とは、、自分の置かれた場所で自分の取るべき行動を考えて動くこと、場の空気の良い意味での循環役になることだと、私は思います。
その集団の誰もが、一歩目を踏み出せずに躊躇しているなら、あえて自分がファーストペンギン(初めに飛び込む人)になり、行動できるような場の空気を作る。
皆が思っていても言えないで過酷な現実が続いているなら、立ち上がって風を作り出す。
一見調和を乱しているように見えるかもしれませんが、その場に必要な改革なら、その行動は調和のための行動です。

光と影、表と裏に優劣はない
仕事には、大きく分けて2つの役割があります。
ひとつは表舞台に立つ仕事と、もうひとつはそれを支える裏方の仕事。
華やかな仕事の裏には、体力的にもや精神的にもハードな役割を担い、支えてくれる人が必ずいます。
1人のプレゼンの成功の背後には、その日のために準備を重ねた多くの人のサポートがあります。
光の当たる側にいる人には、ともすれば、自分の今ある場所に多くの支えがあることに気づかない人もいるかもしれません。
高い建物でも、壁のレンガを一つ引き抜けば、その建物は崩れてしまいます。
仕事は、それに関わった誰が欠けてもその仕事は完成しません。
だからこそ、光と影、表と裏、先輩と後輩―全員がフラットな立場で尊重し合い、対等にディスカッションできる環境こそ、チームの力を最大限に引き出す土壌になります。
自分の中で、無意識に雑に扱っている人がいれば、お礼を伝えたり、挨拶を交わすだけで、それが「調和のある環境」への第一歩になります。

1人で勝つよりも全員で輝けるように
昔は、結果がすべてと言われていた時代がありました。
合格する事
試合に勝つ事
「言い訳するな」
「まずは結果で示せ」
そんな言葉が当たり前に使われていた時代です。
けれど、時代が変わりました。結果だけでなく、その過程や取り組む姿勢に目を向けて、評価される時代になっています。
例えば、オーディション番組を見ていても、がむしゃらに周りを蹴落としてでも勝ちにいこうとする人より、その与えられた課題や場の中で、全力を尽くし、皆で勝ち抜こう、自分も皆を輝かせようと行動できる人が評価されています。
周りの人の好さを見出だし、引き出そうと歩み寄る。それが出来る人は、結果だけを求める人よりも、人間的に深みがあり、周囲からも求められる存在になります。
そしてその視点は、相手のプラスだけでなく、自分自身にも新たな学びがあります。これも新しい調和の形です。

調和で起きる奇跡
日本男子の100メートルリレーには、この、「人と呼吸を合わせる」「信頼と技術でハンデを越える」奇跡を感じます。
現在の日本男子100メートルの選手は、9秒台を出すべく切磋琢磨している、とてもハイレベルな状態です。
しかし、この競技の表彰台はアフリカ勢が独占しており、これは遺伝子的にアフリカ系の選手の方が、身体的に有利であるのは仕方ないことなのかもしれません。
ただ、リレーとなると、日本チームは、オリンピックで2位、世界陸上とで3位と、世界のトップと競り合う成績を出しています。
リレーは、4人でバトンをつないで走ります。アフリカ選手の4人と、日本選手の4人は、もともとの個人記録が全く違います。それでもリレーとなると、アフリカの選手を抜いていくのです。
その理由はバトンパス。次の人に渡すあの数十センチの区間に、0.01秒を削るための努力と研究がされているのです。
自分の役割をはっきりと理解し、人との協力や連携の技術で、個人では立ち向かえない相手を圧倒していく。
あれは確かに日本人が編み出した方法で、世界の指導者も注目しているようです。
この姿に、周囲を活かしながら、その中での自分の役割を最大限に発揮する、調和の奇跡を感じます。

まとめ
私が紹介した「調和」の行動は、平穏を保つことではなく、あなた自身にも、そして周囲にも「風」を起こすことだと思います。
その風が吹くからこそ、人は考え、変化を受け入れ、前に進むことができます。
もし今、環境が停滞していると感じたら
「私はここで何が求められているか」
と自分に問いかけてみてください。
その「問い」が、良い「風」や「循環」を生み出す最初の一歩です。
正しい風は、小さな一歩から始めても、毎日進めば365歩。
一人の改革も、賛同する人が増えていけば、やがて大きな力になり、大きな障害も越えていけるはずです。


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