コメディ

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隣のスーパーマン

私はスーパーマンの正体を知っている。私の同僚だ。職場の人皆が、何となく気づいている。いつ呼ばれても大丈夫なように、通勤バッグにスーパーマンの服を入れて持ち歩いており、書類を出す時に時々見えているからだ。スーパーマンを呼ぶ声が聞こえると、彼は...
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ピノキオ

ピノキオに、嘘を鼻が伸びるように魔法をかけようと、杖を振った妖精。しかし、杖を振った方向を間違えてしまい、鼻ではない場所に魔法をかけてしまった。「昨日。こーんな大きな魚を捕まえたんだよ」そう話すと、パンツの中に違和感が…。嘘をつくたびに、彼...
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ウルトラマン

はるか300光年先からやってくるウルトラマン。ある日、一人の子どもが尋ねた。「何でそんな遠くから、地球のために来てくれるの?」「それは、近くで仕事がないから仕方なく…」話している最中に、ウルトラマンのランプが点滅し始める。もうすぐ3分になり...
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雀の涙

知り合いに、困っている人がいた。私はその分野に明るかったから、彼のサポートをし、何とか窮地を切り抜けた。「お礼をさせてください」という彼に、「好きでやったんですからお構いなく」と返答したが、彼は「そんなこと言わないで受け取ってください。あな...
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失礼ですよ

私は、今日からファミレスで働き始めた。接遇マナーも覚えたし、さあ、頑張ろう。「お客様、おひとり様でよろしかったでしょうか?」「どうせ私に連れ合いなんていないと思ったんでしょう?失礼ですよ」「ライスは無料で大盛に出来ますがいかがですか?」「私...
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命名

僕の名前は「鳥」だ。名付けた父に言わせると。「鳥のように自由に羽ばたける子になってほしかったから」とかもっともらしい理由を言われるが、そんなわけない。今日も、病院の診察室で「渡鳥様、渡鳥様」と呼ばれ、皆が僕の方を振り向き、笑うのだ。「渡」と...
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魔女の言い分(ヘンゼルとグレーテル)

私はパティシエだった。魔女なんかではない。顔が鷲鼻で、ちょっと人相が悪かっただけだ。職人の世界では、強面の人は珍しくない。ある日、お菓子の家を作ってほしいという注文が入った。家サイズのお菓子なんて、前代未聞の無茶な注文である。でも私は、腕の...
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日本語講座上級者コース

丁寧語、尊敬語、謙譲語をマスターした上級者にだけ受講できる講座があった。1日目は、「省略語」。「あーっす。これは何と言っているでしょう?」「明日?」「違います。ありがとうございます、です」生徒はどよめく。「っす。これは?」「?」「おはようご...
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鶴の恩返し

「私が機を織っている時は、決して戸を開けないでください」女はそういって、機織りの部屋に入っていった。男は、女が鶴であることに、とうに気づいていた。鶴の所作が、食事の仕方や生活のいたるところに現れていたからだ。そして、機織りの部屋に入ると、機...
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織姫と彦星

七夕の一夜しか会えない織姫と彦星は、会えない時間の分、強い恋心でつながっていた。でも、それは二十代の頃の話である。三十代になると、「あれ?」と思うことが増えてきた。(白髪が出てきたな)(息、臭くなってきたな)一年ごとに、幻滅する部分が増えて...