怖い話

ショートショート

回覧板

引っ越しを終えた私たち夫婦は、町内会長に挨拶に行った。町内会長さんは、朗らかな雰囲気で、「今はもう町内会行事もやらなくてね。若い人はそういうの面倒くさいでしょ?回覧板だけ回してもらえばいいから」と話された。町内会行事は気が重いと思っていたの...
ショートショート

マッチ売りの少女

「マッチはいりませんか?」今日は大晦日。皆足早に通り過ぎてしまい、今日はまだ1個も売れていない。マッチを売り切らずに帰ると、家では厳格な父に殴られる。空腹と寒さで震えていた少女は、通りではなく、一件ずつ家を回ることにした。扉を叩き、家主が玄...
ショートショート

タスケテ

朝、仕事に行こうとアパートを出ると、上から1枚の紙ヒコーキが落ちてきた。その中には「タスケテ」と書かれている。(またか)はじめは心配していたが、半年も毎日続くと、もういたずらとしか思えない。丸めて鞄に投げ入れ、仕事に向かった。彼に監禁されて...
ショートショート

赤ずきんの問い

「おばあさんのお耳は、どうしてそんなに大きいの?」「それは、お前の声をよく聞くためだよ」「おばあさんのお目めは、どうしてそんなに大きいの?」「それは、お前の姿をよく見るためだよ」赤ずきんはゾクゾクしていた。オオカミがおばあさんのふりをしてい...
ショートショート

新メニュー

裏通りに、小さなレストランがある。夫婦でやってる、アットホームなお店だ。少し気難しい旦那を、奥さんが笑顔で見守るこの夫婦には、客となれ合いの関係はないものの、心地よい雰囲気があった。久しぶりに、男がレストランを訪れた。新メニューがある。「煮...
ショートショート

ルンバ

最近、ルンバを買った。留守中に部屋のゴミを掃除してくれて、帰宅すると家がきれいになっていて心地よい。良い買い物をしたな、と満足している。「ただいま」「ん-、おかえり。早くご飯作ってよ」同棲中の彼は、2カ月前に仕事を辞めて、新たに仕事を探そう...
ショートショート

プレゼント

男は、一人の女性に恋をした。男は、彼女が喜ぶようなプレゼントを贈り続けた。ある日は時計を。ある日はネックレスを。彼女の喜ぶ顔が見たくて、男は一生懸命仕事に精進した。そしてついに婚約指輪を贈り、二人は結婚した。やがて女性は赤ちゃんを身籠り、か...
ショートショート

ある秋の夕刻。母と子どもは、家までの道を歩いていた。背後には大きな影が伸びている。しかし、影は一つ。子どもの影だけだった。「どうしてママの影はないの?」「それはね…」「大人になると影は無くなるんだよ」「へぇ、そうなんだぁ」子どもはそう返答し...
小説

違和感

(何かがおかしい)家に帰ってきたのだが、何かが少し違う気がする。同じ家具、同じ配置、テーブルの上にはお気に入りのマグカップがある。でも何かが違う気がする。そんな時、玄関から人が入ってきた。私が恐怖で硬直していると、そこに立っていたのは階下の...
ショートショート

井戸

我が家の裏には井戸がある。昔ながらの、つるべ落としのある井戸だ。水道で賄えてる今、井戸は埋めていいのではと祖母に言ったことがあるが、「何かあった時のために残しておきたいんだ」と頑なに譲らない。私の両親は、あまり仲が良くなかった。母が泣いてい...