小説

ショートショート

勝手にカップヌードル

夜食は、カップヌードルと決めている。3分の砂時計をセットし、その時間だけ、悩んだり、今日の反省をしていいことにした。もともとは、クヨクヨしたり、物事を悪い方に考えやすい性分である。3分悩んで、カップヌードルを食べて、「今日の悩む時間はおしま...
ショートショート

忘れ物

僕は今、門の前にいる。「さあ、どうぞ」と門番に声をかけられたが、何かひっかかる。「忘れ物をした気がするんです。取ってきてもいいですか?」「…、そうですか、仕方ないですね。では、夕刻、門が閉まる前に戻ってくださいね」そして、今日の朝に戻ってい...
ショートショート

足跡

私は、仕事で成功をし、莫大な富を築いた。その富におぼれず、社会貢献活動もしている。そんな私だが、消したい過去がある。成功する前、若気の至りで、かなりの悪さをしていたのだ。もう足を洗ったが、私が成功してから、かつての悪友が自分の前に顔を出すよ...
ショートショート

女性差別

難しい時代になったものだ。深呼吸をしてから、電車に乗る。「おはよう。ちょっと顔色が悪いようだけど、大丈夫かい?」「女性に外見の指摘をするなんて失礼な。差別ですよ」「…あぁ、失礼」「台車運ぶの、手伝うよ」「それって、女性の私の方が非力だってい...
ショートショート

録音人形

私はなおこ。なおちゃんって呼ばれてるの。8歳の誕生日に、等身大サイズのお人形をプレゼントされた。この人形には録音機能が空いており、私の声をそのまま、私と同じ声で復唱してくれる。私は嬉しくていつも人形を持ち歩き、いつも話しかけた。「あそぼー」...
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雀の涙

知り合いに、困っている人がいた。私はその分野に明るかったから、彼のサポートをし、何とか窮地を切り抜けた。「お礼をさせてください」という彼に、「好きでやったんですからお構いなく」と返答したが、彼は「そんなこと言わないで受け取ってください。あな...
ショートショート

猿も木から落ちる

私は、朝からずっと動物園の猿山を観察していた。「猿も木から落ちる」かどうかを確認するためだ。結果は、落ちるというより、後ろから押されたり、威嚇されたり、普通に落ちていた。ただ、落ちても皆、痛みを引きずる様子はなく、すぐにまた木に登っていた。...
ショートショート

ルービックキューブ

(人生とはルービックキューブのようなものだ)私は気づいた。一面を揃えようと没頭していると、残りの五面がぐちゃぐちゃになる。私にとっての一面は、市長としての顔だった。市民の声を聞き、人のために奔走し、私の仕事は評価され、尊敬もされていた。しか...
ショートショート

命名

僕の名前は「鳥」だ。名付けた父に言わせると。「鳥のように自由に羽ばたける子になってほしかったから」とかもっともらしい理由を言われるが、そんなわけない。今日も、病院の診察室で「渡鳥様、渡鳥様」と呼ばれ、皆が僕の方を振り向き、笑うのだ。「渡」と...
ショートショート

サイコパスとその妻

私は、若いころから感情が平坦であった。人の喜びや痛みに共感できないのだ。(なんでペットが死んで泣いているのだろう?)(なんで卒業式ごときでこんなに泣けるんだ?)泣いて取り乱す人を、無感情で眺めていた。そんな私に、好意を持ってアプローチしてき...