ショートショート

ネッシー

ネッシーの写真をとったマーマデューク・ウェザレルは「あの写真はイカサマだった」と言葉を遺して亡くなった。これによって、世の中から一つの伝説が消えた。死の間際、彼はネス湖を訪れていた。ネッシーは、彼の前に静かにあらわれた。「私の1枚の写真のせ...
ショートショート

井戸

我が家の裏には井戸がある。昔ながらの、つるべ落としのある井戸だ。水道で賄えてる今、井戸は埋めていいのではと祖母に言ったことがあるが、「何かあった時のために残しておきたいんだ」と頑なに譲らない。私の両親は、あまり仲が良くなかった。母が泣いてい...
ショートショート

口裂け女

「私、きれい?」「もちろん、おきれいですよ」女はマスクを外し、口を見せる。「私、きれい?」「だから、きれいって言っているじゃないですか。しつこいなぁ」私は、美容外科医だ。毎日、コンプレックスを抱えた女性がたくさん診察に訪れる。大体は、「おき...
ショートショート

桃を拾ったおばあさん

おじいさんは山へしばかりに。おばあさんは川に洗濯に。山も川も歩いて半日ほどかかり、家に帰ったころにはお腹がペコペコだった。ある日、おばあさんが、川で拾ったという大きな桃を持ち帰ってきた。なんと大きな桃だろう。今晩は久しぶりにお腹いっぱい食べ...
ショートショート

狭き門

「あなたは一度、困っている人に手を貸しませんでしたね」そう言われ、俺は左の門に案内された。左の門は長蛇の列ができ、右の門は、まだ一人も通過していない。経費削減のため、天国の門の審査はかなり厳しくなったようだった。そんな中、「おめでとうござい...
ショートショート

双子

私と妹は一卵性双生児で、本当に見分けがつかなかった。そして私たち双子は、外見に恵まれていた。美貌と瓜二つな外見で、私たちは幼少期からずっと人目を引き、告白される人生だった。私は、多くの言い寄ってきた男性の中から、最も容姿が良く、賢く、経済的...
ショートショート

地獄

男は、多くの悪事を働き、地獄へ墜ちてしまった。血の池があり、針の山があり、阿鼻叫喚が響き渡る。そこには鬼が、恐ろしい顔で地獄の者たちをしばいている。その時、どこからか「蛍の光」が聞こえてくる。「もうすぐ閉館になります。また明日のご来場をお待...
ショートショート

竜宮城への案内

カメは、子供たちに頼んでいた。「私を殴るふりをしてくれないか?そこにひっかかる人がいたら、君たちにも分け前を与えよう」まんまとひっかかった浦島太郎。カメは後ろから子供たちに謝礼を渡し、浦島太郎を竜宮城へ連れて行った。何故かって?それは、ご主...
ショートショート

箱の中

僕は、ある日家に人がバタバタと入ってきたと思ったら、後ろから押され、この箱に閉じ込められた。かろうじて食事が投げ入れられる隙間だけがあるものの、昼か夜かもわからず、時間の感覚もなくなりそうだ。食事が三回投げ込まれたら「一」と数え、正の字をつ...
ショートショート

時効

娘が殺されて20年。ついに時効の日が来てしまった。あの日から、娘を守れなかったふがいなさと犯人への怒りは、年月とともに薄まることもなく、今でも犯人が現れたら怒りで殺してしまうかもしれない。時効の朝、「犯人、見つけてあげれなくってごめんね」と...